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ACL損傷集中講座 6コマ目 【膝屈筋腱(STG腱)を用いた再建】 [膝前十字靭帯(ACL)損傷]

今日はSTG(ハムストリング)腱を用いた再建について簡単にお話します。
現在主流となっている再建方法です。
ちなみに、STGって何でしょう!?

これは、移植靭帯の作成に用いる筋肉の略称です。
膝の裏側の内側に触れるコリコリした筋肉を採取して、再建靭帯とします。

その筋肉の名前が
ST;Semitendinosus(半腱様筋)
G;Gracilis(薄筋)
という名前なのです。

ハムストリングを採取するので、術後は膝の屈曲筋力が低下します。
STは膝を曲げた時の下腿(すね)を内側にひねる動きや、膝の屈曲、股関節の伸展。
Gは股関節や膝関節を内側に絞る動きの筋力に大きく関わります。
スキーにおいてはSTGを取ってしまう事で、クローチングターンやベンディング的な動作、ターン前半の角付け動作などに影響がありそうですね。
近年ではSTが術後1年ほどで再生するという報告もありますが、
実際に再生されたSTは細く、短いため筋力低下は避けられないようです・・・


しかし!!
この方法ならではのメリットもあります。
複数の再建靭帯を作る事ができると言う事です。

1コマ目の記事でも書いたのですが、ACLはAM束、PL束の2本から形成されており、
それぞれに異なった機能を持つと言われてます。
2本の靭帯を寄り合わせて再建する(double bandle)ことによって、
より解剖学的な、正常ACLに近い形態(扇状)のACLを作る事ができるのです。
もちろん、靭帯の通る骨孔も複数作成しなくてはならないので、技術的には格段に難しくなります。

最初、STGによる再建は1本の太い腱(1ルート)で行われていましたが、
近年2ルート法による術式を採用する施設が増えています。
(私も、基本的には2ルートによる再建を第一選択としております。)

ただ、1ルートによる再建が劣ると言うわけではありません。
若年者で骨が小さい場合には無理に2つのルートを作成する事で脛骨を削損してしまう危険があったりするので、技術的に難しい場合はむしろ太目の1ルート再建の方が良い場合もあると思います。

また、2ルートの再建を行った後に再断裂をきたした場合には、再再建の時に、骨孔(トンネル)を開けるスペースが限られてしまい、BTBによる再建ができなくなってしまうケースもありますね。

現段階では、2ルートの術式にもいろいろな考えがあり、術式自体が進化過程にありますので、
今後いろいろなメリット、デメリットが出てくる可能性もあります。
(もちろん、良い術式だという理念と裏づけ、確信を持って手術を行っておりますが・・・)
実際に現段階では、両術式間に成績の大きな差はないような印象です。

最後に、簡単に2ルート再建の様子を、写真で見てみましょう。
最初は、大腿骨に穴をあけているところ。
細い(直径2.4MM)ワイヤーを刺して、位置を確認しています。
右下にすでに一つ、トンネルが開いていますね。

良い場所だったので、そのワイヤーをガイドにして、さらに太いドリルで穴を開けます。
これがだいたい直径6~7MMです。

無事にトンネルが二つ開きました。
ここに、移植靭帯(5コマ目の記事参照)にかけた糸を通して、2本の靭帯を引っ張り込んでいきます。

これで2本の靭帯が固定されました。
ちゃんと扇状になっていますね!
いただきました~!星、3つです!(by マチャアキ)


これが、1年後にはこんな感じに育ってくれます。
無事に、ACLが再建されました!
こういう再建ACLを見れると、ホッとします。


~つづく~
※本記事内に掲載された文章および写真の無断転載を禁じます


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コメント 2

M

先日再検査の結果、来週の14日にオペすることになりました。
by M (2008-02-09 19:05) 

simimasa

そうですか・・・残念ですね。
来シーズンの復活をお祈りしております。
選手のサポート、頑張ってください!
by simimasa (2008-02-10 22:23) 

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